技術を駆使し、顧客と対話しつつ、事業性も意識して新たな材料を創り出し、社会に貢献していく喜び。 研究開発 前川真太朗 Shintaro Maekawa 2008年入社 研究本部 マテリアルサイエンス研究所 材料設計ユニット 工学研究科 応用化学専攻

プロフィール
学生時代は応用化学を専攻したが、実験ではなく、もっぱらシミュレーションで化学的挙動や物性を予測する、量子化学・理論化学を研究した。就職では、この技術を活かして材料の研究ができる仕事を志望。研究室の先輩を通じて三井化学の袖ヶ浦研究センターを訪問し、研究者と会ったとき、「会社がどうこうではなく、化学を通じていかに社会貢献するかを考えてほしい」と言われた。この言葉が胸に響き、こういう研究者たちと仕事がしたいと三井化学に入社。入社後1年間の工場勤務を経て、2009年から現在部署。

市場と対話し、事業性を意識しながら、
新しい材料を開発していく

マテリアルサイエンス研究所はまだ世の中に存在しない、新しい材料を研究し、創り出す部署です。私の所属する材料設計ユニットのほかに、理論的なシミュレーション技術で物性・構造・反応の解析を担当する計算科学ユニット、精密合成技術によって機能化学品材料を創出する合成反応ユニットがあり、お互いの連携により、様々な新材料を生み出しています。

研究所といっても、研究室に閉じこもって実験や試作ばかりしているわけではありません。常に社会ニーズ、市場ニーズを見据えながら研究テーマを設定し、試作品を顧客企業に評価してもらいながら改良を重ね、製品化をめざしています。顧客の要望や市場動向の分析から研究の種が生まれることもあれば、さらに研究者のアイデアや実験中の発見から面白いものが生まれることも。いずれの場合も、顧客の評価や製造プロセスの実現性、コスト、原料調達、法的規制など、様々な角度から検討しながら製品へと仕上げていきます。研究開発も、ただ技術や材料を開発すればよいというわけではなく、三井化学の事業という観点をしっかり意識した取り組みが大切です。

基礎研究から始め、提案・改良を繰り返し、
新材料を創造する面白さ

新材料の研究開発のやりがいは、自分たちが創りだしたものが、様々な企業に採用され、利益を生み出すこと、さらに材料が様々な製品に姿を変え、社会に広まっていくこと。優れた機能・性能によって、従来使われていた材料に取って代わり、これまで不可能だったことを可能にし、世の中が変わっていくかもしれないというところに、創造的な喜びがあります。

もちろん新しい材料が生まれ、普及していくまでには、たくさんの試行錯誤があり、顧客とのやりとりが必要です。たとえば、顧客から「こういう形状に加工したサンプルがほしい」「こんな成形加工ができるように改良してほしい」といった要望が出て、それに応えていくうちに、顧客がどんな製品をめざしているのかが見えてくる。新製品は企業秘密の部分が大きいので、顧客もなかなかはっきりとは言ってくれませんが、我々も試作・検討を繰り返しながら状況を見極め、その材料が採用になったとき、スムーズに量産に移れるように、準備をしていきます。基礎研究からこうした事業段階まで携わることができるところにも、仕事の面白さ、醍醐味を感じています。

前川 写真

進んで新しいことにチャレンジしながら、
研究者としての可能性を広げていきたい。

この仕事を始めて3年目ですが、スキルはまだまだ。特に事業化を視野に入れて開発を進めていくためのノウハウについては最近、自分の未熟さを痛感しています。たとえば中試験である材料を試作したときのこと。小試験では容易に収率良く合成出来たので、中試験プロセスでも簡単に試作が出来るだろうと中試部門に相談したところ、「中試験の機器ではこのプロセスは不可能」であることが分かったのです。そこで初めて自分の視野の狭さに気づき、原体探索の段階から実機に適用可能なプロセスを常に意識して開発することの重要性と、関係部署との密な連携の必要性を強く感じました。

これからはもっと経験を積み、世の中を変えるような新素材を送り出せるような研究者になるのが目標です。そのためには、自分の専門だけにとらわれず、進んで新しい分野に飛び込みながら、可能性を広げていきたい。たとえば、最初は学生時代に研究したシミュレーション技術の専門家になりたいと考えていたのですが、現実には材料設計というモノづくりという私にとって未知の分野で、シミュレーション技術をツールとして活用し、それが大いに役立っています。だからこれからも未知の分野にチャレンジながら新しい可能性を探っていきたい。また、チャンスがあれば会社の留学制度を利用して海外の先端技術を吸収したり、学会の最新動向にも触れるなどしてさらに成長し、研究の仕事に活かしたいですね。

1日のスケジュール

8:40 出社
メールチェック
9:00 職場安全ミーティング
1日のスケジュールをチーム内で共有
9:30 打ち合わせ
分析について担当者と打ち合わせ
10:00 実験開始
ポリマーの重合反応の仕込み
12:00 昼食
妻の手づくり弁当をおいしくいただく
13:00 ミーティング
関連部署と研究方針についてディスカッション
14:00 実験再開
午前中に合成したポリマーの分析・評価・取り出し作業
16:00 面談
商社の方の訪問を受け、原料調達について話す
17:00 成形実験
昨日合成したポリマーの成形実験
19:00 整理
実験後の片付け、結果解析、明日の実験計画作成
20:30 退社