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アナリスト対談

機関投資家インタビュー


中長期的な企業価値を評価するため、いわゆる非財務情報が重視されています。今回、三井住友信託銀行で構築された非財務情報評価の仕組み『MBIS®』の活用について、お話しを伺いました。

三井住友信託銀行株式会社 リサーチ運用部 素材チーム長 上迫 和也氏

MBIS®とは何ですか?

持続的成長を担保するために、企業が有する強みを評価するものです。この評価によって、企業の業績予想の確信度が高まり、同時に将来的な企業価値向上への信頼性に繋がります。

企業の業績として現れる部分を財務情報とすると、それ以外のすべてが非財務情報と言えます。これまでのような、女性活躍はプラス、社外取締役が何人いるからOKといった大まかな評価はパフォーマンスには結びつきにくく、有益な非財務情報とは言えませんでした。MBIS®により非財務情報を体系的に把握し、同時に他業種アナリストの知見も活用するなど、分析内容の高度化と組織的な均質化を目指しています。

特に何の評価を重視していますか?

M/Managementです。中でも「戦略実行力」を注視しています。マネジメント体制だけでなく、それを補佐する仕組みや、戦略を遂行する現場力も評価しています。また、リスクや環境変化に対応する力「改善力・改革力」も重視しています。

­ MBIS® チェックポイント例
M Management (経営) 戦略実行力、改善力・改革力、不祥事・リスク管理能力、資本&投資効率性
B Business Franchise (事業基盤) 顧客価値、顧客基盤、参入障壁
I Industry (市場動向) 市場前提、競争環境、規制・政策
S Strategy(事業戦略) 事業ポートフォリオ、環境・社会、マーケティング、投資・M&A等

化学企業にとって最も重要なのは何だとお考えですか?

S/Strategyの「事業ポートフォリオ」です。化学企業は絶えずイノベーションを繰り返しながら、一方で新興国メーカーのキャッチアップによって陳腐化していくものをそぎ落としていく必要があります。新たな事業の創出も含めて、適切にポートフォリオを改善させ続けていけるかに注目しています。

当社グループをどのように評価されていますか?

MとSで加点しています。戦略を立て実行する「戦略実行力」、それを浸透させ目指す姿を組織に落とし込み運営する「現場力」、また、不採算事業の整理とターゲット事業の成長加速をバランスよく進めている「事業ポートフォリオ変革」を高く評価しています。

中長期的な課題についてご意見をいただけますか?

3つあると思います。

① 緊縮モードから成長モードへの転換
この転換にはチャレンジするマインドへの切り替えも重要です。うまく転換していけるのか。その変化に注目しています。
② 2020年以降の成長の種
1000億円の目標は、オーガニックな成長により実現可能性は高い。ただそれ以降は、これまで顕在化していなかった成長の種からの発現が必要です。新規事業にどの程度投資し、利益目標はどのくらいか、製品候補はどのくらい出てきているか、アピールしていただきたいと思います。
③ ターゲット領域に挙がっていない事業のケア
例えば、セグメントとしては見えない電子材料向け事業、またはセグメントを跨るような事業で、推進力の低下がないか懸念しています。組織としてどのようにそれを担保していくのか、今後も着目していきたいと思います。

情報開示に関するご要望はありますか?

通常のIRミーティングの中でガバナンス改革等の話題も加えていただきたい。社外取締役との対話の機会も実現してほしいと思います。また、工場見学会や事業説明会は、実際に見て聞くことで理解が深まり確信度が高まる有益なイベントです。是非継続していただきたいと思います。


頂いたご意見を真摯に受け止め、中長期的な企業価値向上への取り組みと、当社グループをより深く知っていただくための活動に注力してまいります。

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