AdBlue®

AdBlue®は、尿素SCRシステム搭載したディーゼルエンジン車にて使用され、排出ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を低減する「高品位尿素水」です。

ライフサイクルアセスメント(LCA)~ライフサイクル全体で環境性能を確認~

三井の高品位尿素水 AdBlue®をライフサイクルアセスメントで評価し、酸性化や都市大気汚染等の環境問題が5倍も改善されることを確認しました。

AdBlue®で5倍も環境にやさしいドライブに

AdBlue®を用いた尿素SCRシステムにより、トラック・バスのNOxとPMの排出量が大幅に低減されます。ライフサイクルアセスメント(LCA)は、使用時以外の環境負荷を、AdBlue®やSCRシステムの製造かつ、それらの製造原料である天然ガス・金属の採掘まで遡って総合的に評価できる手法です。
今回、国家プロジェクトで創製されたライフサイクル影響評価手法LIME2を用いて、AdBlue®の環境性能を評価しました。ここでは、2つの大気汚染物質に起因する環境問題である酸性化(NOx)と都市大気汚染(PM)が約6倍も改善されること、それから、地球温暖化などすべての環境問題を総合的に見た時には、5倍も環境にやさしいドライブになることを御紹介します。

図1 AdBlue®のLCA結果(統合化)

LCAの実施

【シナリオの作成】

NOxの排ガス法規制値は、1998年の長期規制4.5(g / kWh)から2005年の新長期規制2.0(g / kWh)を経て、現行のポスト新長期規制0.7(g / kWh)が2010年に施行されました。この間、AdBlue®を用いた尿素SCRシステムを搭載したディーゼルトラック・バスが商用化されました。以下に本検討のシナリオを示します。

当該システムを搭載していない車を長期規制(1998年)適合車とし、搭載した車をポスト新長期規制(2010年)適合車と設定しました。
①の適合車のNOx及びPMの排出量はそれぞれの年度の排ガス規制値とします。
ここで、NOx及びPMの低減メカニズムを御紹介します。
まず、長期規制PM0.25(g / kWh)をポスト新長期規制PM0.01(g / kWh)するために燃費を上げてPM発生を削減します。次に、この過程で増加したNOx量をAdBlue®で分解します。
NOxの排ガス法規制値における長期規制(1998)と新長期規制(2010)の差分Δ3.8(g / kWh)を分解に必要な量をAdBlue®使用量と設定しました。

図2 AdBlue® 消費量のシナリオ

(1) 機能単位

JE05等都市走行モードにおける単位仕事量当たりのNOx排出量(g / kWh)を法規制値に見合った削減をする性能を有するシステム

(2) LCAの調査範囲

システム境界を図3に示します。基本フローの入力分はAdBlue®、出力分はNOx及びPM並びにCO2(尿素をアンモニアに還元する時に発生する)としました。

図3 システム境界

(3) データの収集

AdBlue®のデータは、三井化学大阪工場の1次データ(2010年度)を用いました。また、尿素SCRシステム装置については1次データの収集が困難なため、MiLCAデータベースIDEA((社)産業環境管理協会)の当該関連自動車用部品の2次データを用いています。

図4 AdBlue®製造プロセスの1次データの収集(三井化学大阪工場)

ライフサイクルアセスメント(LCA)について

AdBlue®や尿素SCR装置システム等のライフサイクルにおける、投入資源、環境負荷およびそれらによる地球や生態系への環境影響を定量的に評価する方法です。LCAでは、ライフサイクルの各段階における環境負荷量を算定し、異なる製品やプロセス間の環境問題の比較等に用いられています。また、製品の環境性能をアピールする際、LCAでライフサイクル全体でのCO2排出量を評価すること(カーボンフットプリント)はすでに常識となりつつあります。さらに、欧州EUは、14項目の環境問題を設定した環境フットプリントの2013年近傍の導入を目指しています。

図5 LCAとは
出典:『LCA研修 導入コース スライド資料』(社)産業環境管理協会 2009年

本件で用いたLIME2(日本版被害評価型環境影響評価手法)について御説明します。
これは、経済産業省が主導した国家プロジェクトで創製されたライフサイクル影響評価手法です。影響評価とは製品の製造等で収集した投入資源、環境負荷のインベントリデータを、地球温暖化などの具体的な環境問題別に変換し評価したり、全ての環境問題を総合的に評価することをいいます。このインベントリデータから環境問題への変換を特性化といいます。この時、各環境問題の持つ単位の次元はそれぞれ異なっており、異種間あるいは全部を定量的に比較できません。そこで、これらの環境問題の次元を揃えて、比較を可能とする方法が統合化です。図1.AdBlue®のLCA結果(統合化)に示したのはこの結果です。これにより15項目以上の環境問題の定量的評価が可能となるのです。

図6 LIMEの枠組み
出典:『ライフサイクル環境影響評価手法』 伊坪徳宏ら編 (社)産業環境管理協会 2005年

AdBlue®(アドブルー® )はドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。
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