三井化学 第4回 触媒科学国際シンポジウム(MICS2009)開催レポート

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講演内容

基調講演

Roald Hoffmann 教授 (コーネル大学、米)

化学者の葛藤、そして化学の楽しみ方
Roald Hoffmann

私は雑草を見つけた
その中には鏡があって
私の鏡と向かい合い
その中には雑草があった

 A.R.Ammons作

Hoffmann教授は理論化学のパイオニアであり、分子構造や反応性に関する電子の影響を理論付ける研究で特筆すべき業績を挙げてきた。中でも分子内の電子構造の近似計算手法や、その電子構造から有機反応の反応性や立体選択性を理論的に予測する究極の手法、いわゆるウッドワード・ホフマン則を開発した。この化学反応に関する理論的研究により、1981年に福井謙一博士とともにノーベル化学賞を受賞した。さらにHoffmann教授は、化学を追究するだけではなく著作活動にも励んでおり、自然科学に関する詩や演劇およびノンフィクション小説を人々に向けて広く発表している。

本講演においてHoffmann教授は化学の持つ様々な姿を歴史、文化、芸術との関わりを踏まえて紹介した。例えば化学は汚染と浄化、建造物や分子に見られる単純美と複雑美のように相対する概念を多々内包しており、これらの相対する概念、それによって我々の心に生まれる葛藤が化学に美しさ、ひいては楽しさを与えていると解説した。

また、かつて人々の生活に密着していた化学の祖、錬金術と異なり、現代化学が技術の進歩とともに想像力と社会の関心を失いつつあることに警鐘を鳴らし、化学と生活の結びつきを人々に再認識させることが重要であると説いた。

最後に、若き化学者に向け、次のような激励の言葉で締めくくった。「メンデレーエフの周期表のような傑作に対峙すると、人は往々にして自信を喪失する。しかし、そのような時は、傑作が生み出された過程に思いを馳せると良い。さまざまな努力と葛藤の末にこそ傑作は誕生する。つまり、その過程をたどることで、我々全てが傑作を生み出すことが可能なのだ。」

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