三井化学レポート2017

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CEOメッセージ

「2025長期経営計画始動!」新たなステージへ 社会と当社グループの持続可能な発展を目指し、大きな目標に挑戦していきます。

当社グループは、2025年度に向けた長期経営計画(2025長計)を始動しました。
2014年度からの3カ年中期経営計画(14中計)では、事業ポートフォリオ変革を推し進め、「成長を牽引するターゲット事業領域の拡大」と「基盤素材の大型市況製品の再構築」により、体質強化に努めてきました。
次は成長のステージへと移ります。私たちは2025年度の営業利益目標2,000億円という大きな目標を掲げました。これまでの成果から、十分挑戦できる目標であると捉えています。この目標達成に向けて、積極的な成長投資を行い、新製品創出の加速、次世代新事業の育成を進めて、事業ポートフォリオ変革を更に加速していきます。
当社グループが目指す未来社会の実現のために、「経済」「環境」「社会」の3軸経営を深化させ、課題解決に取り組んでいきます。
2025長計は、社会と当社グループの持続可能な成長を遂げるという、私たちの「決意」そのものです。

代表取締役社長執行役員
淡輪 敏

14中計の振り返り

2014年度中期経営計画(14中計)では、「成長を牽引するターゲット事業領域の拡大」と「基盤素材の大型市況製品の再構築」を一貫して進めてきた成果が現れ、2016年度では過去最高益の営業利益1,021億円を達成することができました。

―― 14中計始動当初に計画していた目標に対し、達成できたこと、また、達成できなかったことを教えてください。

業績面で言えば、想定以上の成果を出すことができました。14中計における16年度の営業利益目標600億円、当期純利益300億円と比較しても、ほぼ倍近いレベルとなりました。また、14中計2020年近傍目標値である、営業利益1,000億円、当期純利益500億円も4年前倒しで達成することができました。社員一丸となり構造改革に正面から取り組み、成長戦略を着実に遂行した成果が現れています。
好業績を残すことはできましたが、内容的には新事業・新製品の開発遅延などの課題を残しています。
また、構造改革の着実な実行により、市場環境がいい時にはフォローの風を十分受けられる体質に変わってきたことは間違いありませんが、今後、少しでも油断があれば、好循環の機運を一気に損なうリスクを抱えていることも忘れてはいけません。

淡輪 敏

―― 14中計で事業ポートフォリオの変革はどのように進んだのでしょうか。

ポートフォリオ変革では、特に基盤素材分野で思い切った構造改革を打ち出し実行してきました。鹿島工場の閉鎖をはじめ、痛みを伴う改革でしたが、この構造改革を期待以上のスピードで実行できたことが、非常に大きかったと思います。もちろん、成長3領域についても、主要製品の拡販効果により、16年度は710億円の営業利益を確保することができました。基盤素材の構造改革、成長3領域の拡大が良いバランスで実行でき、その結果、ポートフォリオ変革が進み数字に結びつきました。

―― 14中計期間中、目標の達成に向けて、社員の士気をどのように鼓舞されてきたのでしょうか。

2011年〜2013年度まで3期連続の最終赤字が続き、14中計をスタートさせる時は、まさに背水の陣という形で取り組みを始めました。社員の危機感も高かったと思います。私自身も厳しい覚悟で臨みましたが、社員に対しては、「この中計期間中に、我々の誇りを取り戻す、そういう戦いだ」というメッセージを発信して、社員の士気を鼓舞してきました。徐々に数字もついてきて、この方向で間違っていないという手応えも出てきて、自信にも繋がったと感じています。いい循環に入ることができ、その結果、2016年度は過去最高益の営業利益1,021億円を達成することができました。

14中計の使命と当初目標

2025長計策定の背景

2008年のリーマンショック以降、外部環境は目まぐるしく変化しています。当社グループは、外部環境に負けず持続的に成長していくために、改めて長期的な視点にたった経営が必要であると認識し、2025長計を策定しました。

―― これまで3カ年の中計を策定してきましたが、2025長計を策定した背景を教えてください。

長期計画を策定した背景には二つの視点があります。
一つは、対外的な側面から、これだけ環境変化が激しい時代なので、固定された中期計画に沿って経営を行っていくことがそぐわなくなってきたと考えています。もっと柔軟性を持つべきだと思います。一方で、私たちが進むべき道、到達点についてははっきりと目標を定めて、その目標にローリングをしながら到達していく方が、現実的だということです。
もう一つは、社内的な問題でもありますが、当社には計画経営に比重がかかり過ぎるという欠点がありました。中計策定にものすごく労力を費やし、実行のところにウェイトがかからないといった危惧がありました。例えば、中計に一度織り込んだものは実行できる、織り込んでいないことはできないといった発想になりがちでした。これだけ環境変化が激しい中で、計画に織り込んでいようがいなかろうが、やるべきことはすぐにやらなければいけない。そういうことだと思います。
社員のマインドセットを変えるという意味でも、中計はなくした方が良いという結論になりました。
この二つの側面から、長期計画に切り替えました。

―― 従来通り、中計策定を継続するのか、長計へと踏み出すのか、社内ではどのような議論がなされたのでしょうか。

営幹部との間では、三井化学グループとして、「変えてはいけないもの」、「変わらなければならないもの」を徹底的に議論しました。変えてはいけないものは経営ビジョン。その実現のためには、長期的な視点にたち、一方で環境変化はどんどん取り込んでローリングしながらゴールを目指す方がよいという結論になりました。
もちろん、具体論を中心に色々と議論を重ねましたが、私自身の思いも強かったので、長計に切り替えていくということそのものには、大きな反対はありませんでした。

淡輪 敏

経営計画システムの変更

中長期的な成長に向けて

私たちが実現すべき未来社会を「環境と調和した共生社会」「健康・安心な長寿社会」「地域と調和した産業基盤」と定め、その実現に向けて、「経済」「環境」「社会」の3軸それぞれについて2025長計の目標を設定しました。

―― 3軸経営の考え方と、それぞれ設定した目標について、どのような方針で取り組んでいくのか教えてください。

当社グループは2007年度から、「経済」「環境」「社会」の3軸経営の姿勢を明確にしてきました。
持続的に成長していくためには、3軸のバランスをとりながら機会の最大化とリスクの最小化を行い、様々なステークホルダーに訴求しつつ、社会課題を解決していくことが欠かせません。その結果が企業価値の最大化につながると考えています。
「経済軸」については、当社グループの技術的な強み、これまで培ってきた顧客基盤をしっかりと活かしていけるような領域で、拡大成長を遂げていくということがベースにあります。14中計期間にその手応えを掴んできたので、成長3領域の事業戦略は、そのまま長期目標に取り込んで拡大させ、私たちの強みをより発揮できる分野に経営資源を集中していきます。新事業、次世代事業については、14中計でも目標を掲げましたが、若干未達に終わっている部分もあるので、ここも強化していきます。
長期的な視点に立ち、当社グループが向かうべき成長領域、成長ドライバーを明確にして、目標に向かっていく。そんなイメージで経済軸の目標を確立しました。
「環境軸」 「社会軸」については、当社グループが取り組んでいく社会課題を「重要課題」として選定しています。
2025長計では、私たちの持っている事業や、ソリューション提案などを通じて、様々な社会課題にどうやって貢献していくかという視点で、3つの目標設定をしました。
「環境軸」 「社会軸」を重視していくことは、非常に大事なことだと考えています。

3軸の2025長計目標

経済軸 成長3領域の拡大・積極的な投資、次世代事業の育成、基盤素材の継続的な競争力強化
環境軸
社会軸
低炭素・循環型・自然共生社会の実現に貢献できる製品・サービスの最大化
QOL向上、スマート社会の実現に貢献できる製品・サービスの最大化
サプライチェーン全体を通じた安全確保・高品質・公正の追求

―― 2025年度営業利益目標2,000億円に向け、積極的な成長投資を計画しています。具体的にどのような投資を考えていますか。

ベースになるのは、私たちの持っている強みである既存の成長事業の能力拡大です。現状、生産余力がなくなってきているので、需要伸長をきちんと見て、投資をしていくことを考えています。
もちろん、当社グループの事業領域を少し周辺領域に拡大したりする際には、M&Aも有効な手段になります。ただ、これは相当のリスクを伴うので、どのような形で検討を進めていくか、今、必死で組織や体制づくりを進めています。
基盤素材事業についても、より競争力を高めていく努力を継続させていかなければなりません。会社全体のものづくりのベースとなり、この事業がないと成長の土台が崩れてしまうという関係は、私たち自身が一番よくわかっていることです。
いずれにしても、会社全体のバランスを見ながら投資を拡大していきます。6割ぐらいは既存領域の拡大成長投資、4割ぐらいがM&A、提携、そんなイメージで考えています。

―― 次世代事業の育成に注力していますが、どのような芽が育ってきているのでしょうか。

メディカルソリューションの分野では、細菌迅速検査システム(敗血症)事業、エネルギーソリューションの分野では、太陽光発電診断事業などに取り組んでいます。
利益貢献はもちろん大事なことですが、むしろ社会的な貢献、例えば敗血症の早期診断システム事業については、非常に社会的貢献度が大きいと見ています。単に利益を追求するだけではなく、社会的な貢献という面でも手応えを感じられるような領域に注力していきたいと考えています。

社会と当社グループの持続可能な発展に向けて

2025長計は、社会と当社グループの持続可能な成長を遂げるという、私たちの「決意」そのものです。3軸のバランスのとれた経営を実現させ、事業活動を通じた社会と当社グループのSustainable Growthを目指していきます。

―― 2025長計では大きな目標を掲げました。目標達成のカギを教えてください。

ハードルは高いかもしれませんが、挑戦できる目標だと捉えています。目標達成のカギは二つ。一つは「顧客起点イノベーションの推進」で、新製品・新事業の創出が絶対条件です。消費者やお客様の潜在的なニーズ発掘や、社会課題の解決に貢献する提案をしていくことが必須です。 もう一つは、「グループ・グローバル経営の強化」。グローバル展開がさらに進むのに伴い、ナショナルスタッフの登用・活躍の機会が増えます。そのためにはダイバーシティの推進は不可欠だと考えています。 改めて、グローバルに活躍できる多様な人材の育成をはじめ、財務・情報・組織・技術の強化、「安全はすべてに優先する」という方針の下での競争力強化を目指し、経営基盤強化に取り組んでまいります。

―― 最後に

2025長計は、社会と当社グループの持続可能な成長を遂げるという、私たちの「決意」そのものです。この大きな目標に向けて、全社員が意識を変え、「成長・攻め」の姿勢へ、そして判断と実行のスピードを加速させます。また、事業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、貧困、飢餓、資源・エネルギー、気候変動、環境などのサステナビリティに関する環境軸・社会軸の課題に対しても、積極的に対応するバランスのとれた経営を実現させていきます。
当社グループは、ステークホルダーの皆様との質の高い対話を継続し、私たちの壮大な夢と将来ビジョンを実現していきたいと考えています。
新たな顧客価値を創造し、事業活動を通じた社会と当社グループのSustainable Growthを目指してまいります。