「揺るぎない存在感」を示す企業へ、そして「社会と当社グループの持続可能な発展」を目指してまいります。

2025長期経営計画スタート

過去最高益を達成し、社員の意識にも変化の兆しが見え始めています。

当社グループでは3か年の中期経営計画を策定していましたが、環境変化が激しくなる中で、3年後の固定化された目標に向かって経営計画を進めることに無理が生じているという思いがありました。また、1,000億円レベルの営業利益を達成するなかで、この先、社員にどういう方向性を示していけば良いのか、高い成長力を維持するためにどんなことをすれば良いのかという具体論に落とし込む必要があると考えて、少し長い期間で目標を定め、環境変化を取り込み、毎年ローリングしてゴールを目指すこととしました。
長期経営計画では、営業利益2,000億円という高い目標を掲げましたが、社員のマインドセットはかなり変わってきていると思いますし、この目標に向かって動き始めている手応えを感じています。

2017年度は、長期経営計画のファーストステップとなる重要な1年でした。主要製品の拡販により、順調な第一歩を踏み出すことができたと思います。ただ、残念ながら歯科材料事業で2度目の減損をすることになったため、ヘルスケア領域の拡大が今後の課題と考えています。また、モビリティ領域では、成長のためのM&Aとして、(株)アークのグループ会社化を実現しましたが、このPMIをしっかり行っていくことも大きな課題です。

成長3領域、それぞれの現状と課題について。

モビリティでは、自動車の軽量化・EV化といったニーズに対して、ソリューションを提供することができる多種多様な機能樹脂を有しています。その中心の一つであるPPコンパウンド事業は成長機会を捉え、継続的な拡大を続けています。これまで、欧州に自前の工場を保有していないことが一つの弱みでしたが、一定の販売確保に目途がついたので、2018年5月に、新たに欧州拠点を立ち上げる意思決定をしました。また、タフマー®も生産能力に限界がきているので、既存拠点の増設と北米での新しい拠点づくりの検討に入っています。言い方は悪いですが、14中計期間に相当投資を抑制したツケが回ってきており、各設備能力がかなりタイト化しています。そこにきちんと手を打って、将来拡大するニーズに安定的な供給体制を整えるということが、モビリティ分野の一つの課題だと思います。
今後の成長のキーとなる(株)アークのM&Aについては、金型事業を手掛ける共和工業(株)に続き、これまでの材料提供だけではない世界まで範囲を広げていくことになります。これを機に、当社が得意とする機能樹脂の技術に、(株)アークが強みを持つ設計・試作・解析等の技術を融合して、ソリューション提供力の強化に一段と注力していきます。

ヘルスケアでは、世界トップシェアのビジョンケア材料やアジアで人気の高まっているプレミアム紙おむつに用いられる高機能不織布などが着実に伸びています。また、新しいものとしてワンタッチで遠近を瞬時に切り替えられる、次世代アイウェア「TouchFocus」の販売を開始しました。これからこの製品の販売網を拡充し一定のボリュームまで販売を拡大できるよう、手を打っていきます。
歯科材料においては、ドイツにおける販売低迷やデジタル関連製品の立ち上げ遅れにより、厳しい状況が続いています。今は弱みと評価されている部分を跳ね返すために、2018年は重点的に対策に取り組み、営業体制の強化やデジタル製品の上市・拡販に向けた基盤整備を進めています。

フード&パッケージングは、範囲が広い事業セグメントです。フィルム・シート関連では、半導体製造工程用の保護テープとして世界トップシェアを有する「イクロステープ」の販売が好調です。世界的な需要地である台湾に新たな拠点となる子会社を設立しました。稼働率を早期に上げていくことが大事になってきています。
農薬事業には、新規5原体と言う5つの新しいパイプラインがあります。このうち、2つはすでにマーケットに流れ始めています。主力の新規殺虫剤、殺菌剤については、欧米の有力な農薬メーカーと組んで、2020年頃にはなんとかマーケットに出して、農薬事業拡大のステップにしていきたいと考えています。

未来を見据えた次世代事業の創出と基盤素材事業のさらなる強化を進めていきます。

次世代事業は、10年・20年先の未来を見据えた新たなソリューション事業の創出を目指していますが、やっと主役として販売できるような形が出始めました。敗血症迅速検査システムや太陽光診断ビジネス、iCAST®という水の使用量を極端に抑えられる灌漑システムなど、社会的なニーズの高い事業なので、収益も大事ですが、社会の要請にスピーディーに応えていくということが重要になってきます。

基盤素材事業は、これまで構造改革の中心となり、やるべきことはきちんと行ってきました。ただ、この領域をより強くするための投資も必要だと考えています。よく誤解を受けますが、投資は成長分野に集中させますが、基盤素材事業に投資しないとは言っていないわけで、むしろこの分野の強化を図ることにより、モビリティなどの製品が活きてくるという事情もあります。
例えばPPについても、ビルド&スクラップを検討していますが、これは単純に効率化のためだけではなく、品質を向上させてPPコンパウンドや不織布用に供給するためであり、これによって競争力を維持することも大事になってきます。

2025年、三井化学は新たなステージへ

ESG推進体制の強化

SDGsへの取り組み、ESGへの対応を経営の中核に据え、長期的な観点で布石を打っていきます。

国連で「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されて以来、世界中で「サステナビリティ」がキーワードとなっています。これらの社会の動きは、企業に、社会の持続可能性に向かってどのようにイノベーションを起こし、どう貢献していくのか、機会とリスクを的確に捉えて社会と共に持続的に成長できるビジネスモデルに変革していけるのか、が問われているのだと思います。
化学業界が深く関わる課題としては、気候変動対応やマイクロプラスチックをはじめとする海洋プラスチックごみ問題があります。これらの課題に真摯に取り組むと同時に、今後も人々の生活の質の改善を図っていくために、化学がどのようなソリューションを提供していけるのか。サステナブルな社会の実現は、大きなイノベーションが要求される課題でありますが、大きな機会と捉えることもできます。
最近では、ESGが投資の重要な判断材料として注目されています。企業はSDGsやESGの様々な社会課題に対して、機会とリスクを的確に把握し、事業活動を通じてどのように役割を果たしていくのかを自ら示していかなければなりません。これは、グローバルに事業展開する当社グループが持続的な成長を果たしていくために欠かせない命題です。

当社は、2018年4月、新しい組織として「ESG推進室」を設置しました。
わかりやすいKPIを提示し、その価値をステークホルダーの皆様と共有していくことが大事だと考え、2025長計では、環境・社会軸でも13のKPIを設定して、取り組みを進めてきました。なかでも環境貢献価値を示すBlue Value®、QOL向上貢献価値を示すRose Valueの認定製品・サービスの売上高比率目標各30%(2025年度)を掲げ、事業活動を通じた社会価値の向上を見える化しています。社会課題解決に向けて事業機会の探索を深め、認定製品拡大に向けてアクセルを踏んでいきます。また、ガバナンスにおいても、事業のグローバル化がさらに拡大していく中、ESG視点での機会とリスクの見極めがより重要になってきます。取締役会や全社戦略会議の場でESGに関わる議論を活発に行い、当社グループの経営に反映していきます。

社員一人ひとりがESGの重要性を共有し、日頃から社会課題を意識していくためには、社内の意識改革が不可欠です。急速に変化する社会要請に対して、事業機会を確実につかむよう経営者自らが常に意識し、それを社員と共有していくことが重要だと考えています。

ESG特集

Key Performance Indicator(重要業績指標)

化学は社会の基盤を支える重要な産業、そして革新を担う存在です。社会課題に対して化学が果たすべき役割の大きさをきちんと自覚して、実際に行動で示していかなければいけません。 化学は社会の基盤を支える重要な産業、そして革新を担う存在です。社会課題に対して化学が果たすべき役割の大きさをきちんと自覚して、実際に行動で示していかなければいけません。

長期視点でのイノベーションへの取り組み

社会課題解決へのソリューション提供にはイノベーションが欠かせません。

AIやIoTの進展、車のEV化により、100年に一度の大変革の時代と言われており、自動車メーカーにも大きな危機感が示されています。このような変革期こそ、化学会社にとっては、チャンスであると考えています。例えばEV化であれば、リチウムイオン電池の技術のほとんどに化学メーカーが関わっています。また、自動車の動力源が何になろうと軽量化への要請はずっと続いていきます。
世の中の変化に対して、化学メーカーが主導してイノベーションを創出する。こんな方法がある、こんな装置ができる、というようにお客様の課題を起点にソリューション提供をしていく。そういう時代に入ってきた気がします。
ただ、社会課題そのものが非常に大きなものであると、一社だけでその課題に取り組むということには限界があります。新しい技術や、事業分野では、オープン・イノベーションも活用していかなければ、自前主義では間に合わなくなっていくと思います。化学会社だけではなく、異業種と組んでいくこともあります。各社それぞれ強みが違い、培ってきた技術の流れも違う中で、自前でどのような技術ベースを確立できているか、当社の強みは何かということをきちんと理解し、そこに立脚して広がりを持たせていくことが大事だと考えています。

イノベーション特集

安全への取り組み

安全確保と品質の向上を追求すると共に、社会的責任を果たしていきます。

長期経営計画の目標の一つに「サプライチェーン全体を通じた安全確保・高品質・公正の追求」を掲げています。この中で私が最もこだわっているのが「安全」です。
この「安全」を守り続けるために、私たちにとって忘れてはならないのが2012年の岩国大竹工場での爆発火災事故です。私は「安全はすべてに優先する」と機会があるごとに社員たちに伝えてきましたが、2017年の茂原分工場に続き、2018年6月にも大阪工場において火災事故が発生しました。「安全」に王道はありません。この事実を重く受け止め、これまでの取り組みを改めて見直し、地道な活動を積み重ねていきたいと思います。
今一度、サプライチェーンすべてのプロセスにおいて安全の確保と品質の向上を追求し、グローバルにガバナンスを効かせながら、社会的な責任を果たしていきます。

安全モニュメント 安全モニュメント:岩国大竹工場で発生した爆発火災事故を真摯に受け止め、二度と事故を起こさないという社員全員の“安全の誓い”を表現しています。

社会と当社グループの持続可能な発展に向けて

3軸のバランスのとれた経営を実現させ、事業活動を通じて社会と当社グループの持続可能な発展を目指してまいります。

14中計の3か年では、財務体質の改善と利益を回復させることを優先し、投資は抑制せざるをえない状況にありました。そこから立ち直ってきて、2025長計目標に向かって、改めて積極投資をするというスタンスに切り替えると宣言しました。
「安定的な成長路線に復帰させる」ということが、長計達成に向けての私の使命だと考えています。
そのためには、キャッシュをしっかり稼ぐ力がないといけません。安定的に利益を上げながら、それを投資に振り向けていく、これを継続して成長軌道が確保できるようにしていきたいと考えています。もちろん、バランスを取りながら株主の皆様への還元の充実も図っていきます。

社員に対して、最近私は、「『自分はこうしたい』という意志と行動を示してほしい」と伝えています。社員一人ひとりが社会との関わりを自覚し、自らイノベーションを引き起こしていかなければなりません。少しずつではありますが、社員に自主的にいろいろな動きが出てきていると感じています。

私たちは、これからもステークホルダーの皆様との質の高い対話を継続し、私たちの壮大な夢と将来ビジョンを実現していきたいと考えています。そして、新たな顧客価値を創造し、事業活動を通じた社会と当社グループの持続可能な発展を目指していきます。

社会と当社グループの持続可能な発展に向けて

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