「強く」そして「いい会社」として、持続可能な発展を目指していきます。 「強く」そして「いい会社」として、持続可能な発展を目指していきます。

長期経営計画の進捗社会の変化に柔軟に対応しながら、
長期経営計画は着実に進んでいる手応えを感じています

当社グループは、2025長期経営計画を策定し、社会課題の解決に向けた取り組みを進めています。2018年度は、その2年目となるステップでした。この1年間を振り返ると、米国を起点とした貿易摩擦や中国経済の減速、さらに地政学的なリスクの高まりなど、世界経済を取り巻く環境は大きく変わり、その変化のスピードはますます速まっています。同時に、気候変動やプラスチックごみ問題など、化学業界や社会全体で取り組むべき課題も明確になりつつあります。
しかし、より高い視点に立ったメガトレンドを見ると、計画策定時の見通しとさして大きな違いはないように私は感じています。そもそも私たちは、このような環境変化にスピーディーに適応していくためにこの長期経営計画を策定したのであり、その変化を取り込み、柔軟にローリングしながら前進していくことを当初から想定していました。

2018年度は、残念ながら一過性のマイナス要因もあり営業利益は前年度を下回る結果となりましたが、当期純利益では過去最高益を達成し、構造改革などこれまでの取り組みが成果に結びつきつつあります。長期経営計画は着実に進んでいるという手応えを感じています。

成長3領域における取り組み「モビリティ」「ヘルスケア」の拡大により、成長3領域では前年度を上回る営業利益を達成
ソリューション提案力の強化に取り組んでいきます

モビリティ」はグローバルな自動車生産台数の増加はやや鈍化しているものの、手堅い成長を続けています。現在、自動車産業はCASEやMaaSといったワードに象徴されるように、100年に1度といわれるような大きな変革期の最中にあります。
その変化がどう進むにしろ、軽量化・安全性・快適性というニーズが今後も高まることは変わりありません。その流れとともに、当社が有する多種多様な機能樹脂のラインアップ、高い技術力と品質という強みが活かせる領域はさらに広がっていくと考えています。
また、今後はものづくりにまで踏み込んでお客様に対するソリューション提案力が重要となります。2017年、M&Aによって(株)アークをグループ会社化し、設計・試作・解析などの機能を融合させました。さらに2019年3月、ものづくりの開発機能を強化するためにデザイン&ソリューションセンターを新設し、成長3領域全体での活用も視野に入れ、お客様へのトータルソリューション提案力の強化を進めています。
ヘルスケア」では、技術力や顧客基盤などで当社が大きな強みを持つビジョンケア材料が堅調に伸びています。今後は、性能に加えて機能面でも付加価値のある材料開発を進めていきます。新次元メガネ「TouchFocus®」については、当社にとって経験の少ないBtoC製品ですが、市場での認知度は着実に上がってきており、海外市場への展開など、さらに期待ができると考えています。
高機能不織布については、これまで販売を伸ばしてきたプレミアム紙おむつ用途に加えて、自動車や医療など産業材分野での用途拡大を進めています。2019年4月、その開発を推進するために産材開発室を発足させました。また、歯科材料事業は立て直しが課題でしたが、販売体制の強化、デジタル関連製品の立ち上げといった施策を早急に進めており、拡販に向けて基盤も整いつつあります。
フード&パッケージング」は、足元では米中貿易摩擦の影響による半導体市場の減速などで産業用フィルムがやや足踏みしていますが、AI化やIoTのさらなる進展、5Gの普及などを背景に、中長期的に見て需要は拡大すると見込んでおり、台湾での拠点強化などの戦略を継続して推し進めていきます。食品の包装用フィルムについてもフードロス削減などのニーズとともに需要は伸びると期待され、新たな機能を備えた製品の開発に力を入れていきます。
農薬事業は、新しいパイプラインの開発が順調に進んでいます。主力となる新規殺虫剤についても欧州の有力農薬メーカーとグローバルライセンス契約を締結し、世界のマーケットでの展開を目指しています。

2025年、三井化学は新たなステージへ。

次世代事業と基盤素材事業着実に実を結びつつある次世代事業
基盤素材での構造改革を継続します

10年、20年先の未来を見据えて新たなソリューション事業を創出するために「次世代事業」に取り組んでいます。エネルギー分野では発電事業や太陽光診断事業を進めており、後者については2019年度よりインドで認証事業をスタートする計画です。メディカル分野では「細菌迅速検査システム」が臨床のステップに達しています。これは、死亡率の高い感染症である敗血症の迅速な診断を支援するものであり、取り組む価値の高い技術だと思います。
このほか、ベンチャーなどとの協業によるオープンイノベーションやCVCも積極的に推進しており、医師の技術向上を支援する手術練習用モデルの開発などを進めています。
これらはいずれも社会課題の解決につながる事業であり、利益貢献までにはまだ課題がありますが、ひとつひとつ着実に育てていきたいと考えています。
基盤素材事業」は、これまで取り組んできた構造改革を継続して推進していきます。構造改革は終わりなきテーマであると考えています。文字通り、基盤素材は当社の成長事業領域の基盤となるものであり、社会の根幹を支える事業です。化学企業としての長期的な競争力強化のため、引き続き生産の効率化を進めるとともに、品質の向上にも一層力を注いでいきます。

拡大する投資を成果に繋げる3か年で4,300億円の投資を計画
十分にリターンが見込める案件を厳選して実施していきます

長期経営計画では、積極的な成長投資を行っていきます。
大切なのは着実に成長に結びつく投資であり、需要に応じた生産能力の確保を基本方針とし、十分なリターンが見込める案件を厳選して実施していきます。
事業を拡大していくためには、M&Aも重要な戦略となります。しかし、単に拡大だけを目指すM&Aは持続的な成長にはつながりません。私は、M&Aについては「飛び地には行かないこと」を原則として考えています。つまり、既存の事業とシナジーが見込める領域であり、私たちがいま持っていない技術やノウハウをグループ内に取り込むことで成長への新たな力としていきます。
これらの成長投資にあたっては資本コストを意識し、ROICをひとつの指標に投資効率と成長のバランスを図ります。成長3領域への集中投資を進め、同時に今後も着実にROICを改善していくことを目標にしています。

サステナビリティマネジメントESG要素を経営に取り込み、
リスクに対応するとともに成長の機会を的確に掴んでいきます

SDGsの広がりに象徴されるように、サステナビリティがキーワードとして定着し、企業に対するESGへの取り組み要請が高まっています。2018年度を振り返ってみてもその動きはさらに加速したように感じます。リスクと機会を的確にとらえて経営に組み込み、いかにスピーディーにビジネスモデルを変革していくのか、その経営戦略にステークホルダーの注目も高まっています。これからは企業価値を高めるためには、社会的な価値を創出していくことが重要になります。
このようにESGを経営の中核に据えたサステナビリティマネジメントを行っていくために、当社は2018年にESG推進室を立ち上げました。それから1年余りが経過し、ESGは当社の経営に着実に根づきつつあります。投資検討や予算の策定においてもすでに切り離すことのできない視点です。全社戦略会議や取締役会でも日常的にESG関連テーマについて協議し、社会の要請を感度よく反映させるように努めています。
また、ESGに関する情報開示も経営にとって欠かせない要素であり、投資家をはじめ様々なステークホルダーとの対話を積極的に進めています。財務諸表などで明示される業績と違って、ESGの取り組みは概念的で数字化しにくく、表現の難しさがあるように思います。その点、当社独自のBlue Value® /Rose Value® は、社会課題に対する当社の取り組みを「見える化」するものであり、ユニークな指標として評価されています。今後も着実に拡大していきます。
社員たちにとっても、ESGに取り組む価値を各々の業務の中で見い出すのは難しいことです。そこで私は社員たちと直接話す機会を増やし、私なりに整理した言葉でわかりやすくその意義を伝えるようにしています。このような活動も地道に続けてグループ全体でESGに取り組む風土を築き、前進していく力にしていきます。

プラスチックごみと気候変動バリューチェーン全体を視野に循環経済モデルの推進に取り組み、
グローバルな連携を進めます

社会課題の中でも最近特にクローズアップされているのがプラスチック問題であり、気候変動への対応です。当社グループは多くのGHGを排出し、プラスチックを製造する化学企業としてこれらの問題に深く関わります。それはリスクであるとともにビジネスのチャンスでもあります。長期的な視点で的確かつスピーディーな経営判断が重要であると考えています。
プラスチックと気候変動のふたつの課題は切り離して考えることはできません。両方の視点からバリューチェーン全体で循環経済への転換に取り組んでいこうというのが当社グループの基本的な考え方です。
プラスチックの3R(リデュース、リユース、リサイクル)は日本が先駆的に進めてきた領域です。当社グループでは、リサイクルの取り組みを強化するとともに、バイオマスプラスチックを拡充することで循環経済モデルを推進していきます。海洋プラスチックごみについては、この循環から外れてしまった廃棄物の問題であり、グローバルな協働が欠かせません。Alliance to End Plastic Waste(AEPW)をはじめ国際的なアライアンスに参画し、この問題に取り組んでいます。
気候変動については、2050年を見据えた方針を策定しました。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明し、気候変動による事業への影響の積極的な情報開示に努めています。

グローバル人材の育成グローバル戦略を加速するためにも
多様な人材が活躍できる環境づくりがとても重要です

人材は、いつの時代においても最も重要な経営資源のひとつとなります。性差や国籍などにかかわらず多様な人材が活躍できる環境づくりを進めています。
人材において重要なキーワードとなるのは、グローバル化です。当社グループは現在、30か国・地域に170拠点を展開しており、海外在籍者比率も43%に達しています。今後、さらなる事業拡大のためには現場の課題をよく知る社員に経営を委ねていくことが欠かせない要素だと考えています。そのためには、ナショナルスタッフの採用・育成が今後力を注ぐべき課題です。グローバルな人材マネジメントやガバナンスを強化するために2019年4月、グローバル人材部を新設しました。グローバル展開の加速は、長期経営計画においても重要な戦略です。今後もその基盤の強化に取り組んでいきます。

安全への取り組み「安全はすべてに優先する」
この言葉を全社員で改めて認識し、「安全」の徹底を進めていきます

私は、「安全」こそが経営においてなによりも重大な命題であると考えています。社員たちにも機会あるごとに「安全はすべてに優先する」と伝えています。長期経営計画においても目標のひとつに「サプライチェーン全体を通じた安全確保・高品質・公正の追求」を掲げています。
この「安全」を守っていくために、私たちにとって忘れてはならないのが2012年の岩国大竹工場レゾルシン製造施設での爆発火災事故です。私たちは「安全」にこだわり、生産現場と一体となり改善を積み重ねてきました。しかしながら、2018年度においても大阪工場において火災事故が発生しました。この事実を重く受け止め、私自身も現場社員と話し合い、取り組みは形骸化していないか、社員一人ひとりが真剣に向き合っているかを確認しました。
今一度、グループを挙げた「安全」意識の徹底に向け、引き続き地道な活動を積み重ねていきたいと思っています。同時に、保安の高度化のための体制づくりや技術導入も進め、改めてサプライチェーンすべてのプロセスにおいて安全の確保を追求し、社会的な責任を果たしていきます。

ステークホルダーの皆様へ社員すべての力をひとつにして
持続可能な発展を目指します

長期経営計画については、今後も柔軟にローリングしながら2025年の目標に向かって前進していきます。成長3領域の拡大が中心となりますが、基盤素材についても引き続き安定的な収益を確保していきます。
2019年度については増収増益を見込んでおり、1,050億円の営業利益を計画しています。今後は着実にこれまでの投資を回収するステージに移り、2020年1,200億円、2021年1,400億円の営業利益へと拡大を図ります。
私は最近、当社グループのサステナビリティの考え方を社員たちにわかりやすく伝えるために「強い会社、いい会社」という言葉を用いています。「強い会社」とは、経済的な数字に表れる稼ぐ力がある会社。その一方で、「いい会社」とは活力のある企業文化といった無形の価値を経営の基盤として持っている会社であると私は考えています。
強い会社でなければ存続できないが、いい会社でなければ存続する意味がない。これからも社員すべての力をひとつにし、「強く、いい会社」と誇りを抱けるような企業グループを目指していきます。
化学は社会の基盤を支えるものであり、そのポテンシャルは大きく、これからも様々なイノベーションの起点になっていくべき産業です。ステークホルダーの皆様の期待に応え、新たな価値を創造し続け、社会と当社グループの持続可能な発展を目指していきます。

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