重大事故防止

三井化学グループでは、「安全はすべてに優先する」という経営方針のもと、全グループを挙げて様々な安全活動に取り組んできました。しかしながら、2012年岩国大竹工場でレゾルシン製造施設爆発火災事故が発生しました。2017年は市原工場茂原分工場(以下、茂原分工場と記載)で火災事故が発生しました。岩国大竹工場の事故に通じる点も多く、反省すべきことと認識しています。また、2018年6月には大阪工場で火災が発生しました。これらのことを反省し、二度とこのような事故を起こさないよう再発防止に努めていきます。

2017年7月に発生した茂原分工場の火災、2018年6月に発生した大阪工場の火災については、こちらをご覧ください。

茂原分工場の火災について

大阪工場の火災について

経営トップの安全・保安に対する強いコミットメント

当社社長は、「安全の日」、「全国安全週間」等にて、「安全はすべてに優先する」という経営方針を三井化学グループ全社員に繰り返し発信しています。2018年度の実績は以下のとおりです。

  • 新年挨拶会、期首講話で本社社員に安全最優先の直接訓示(国内拠点に同時中継)
  • 安全の日に関連して、社長メッセージをグループ全体に発信
  • 安全の日に本社で社員に直接訓示(国内生産拠点に同時中継)
  • 安全の日に関連して社内報で「安全最優先」を発信
  • 全国安全週間に関連して、社長メッセージをグループ全体に発信
  • 工場訪問時に安全に関して直接訓示(計器室、講堂等)

副社長、専務、生産・技術本部長等会社幹部も本体および国内外関係会社の生産拠点を訪問し、現場への「積極関与」を行っています。

抜本的安全対策

三井化学は、2012年4月22日に発生した当社岩国大竹工場レゾルシン製造施設爆発火災事故を厳粛に受け止め、全社の安全・保安の確保に関わる問題点を徹底的に見直し改善するために、抜本的安全対策への取り組みを開始し6年が経過しました。多くの議論を重ねて展開してきた諸施策は日常的活動に落とし込まれ、日常課題としてPDCAをまわしながら活動を継続しています。抜本的安全対策は、安全レベルのさらなる底上げにつなげるべく、メリハリをつけながら今後も継続して推進していきます。

抜本的安全対策推進の全体像

抜本的安全対策は、2013年の開始以降、下図に示す全体像を構築し、全社を挙げて取り組んでいます。

抜本的安全対策のポイント

  • 社長以下で構成するステアリングコミッティ※1 で全社課題を議論し活動を方向付け
  • 経営層を筆頭に本社組織の工場訪問機会を増やし、積極対話で安全に関与
  • 社外有識者の方々等の第三者によるご指摘を工場運営に反映
  • 工場長による安全対話や安全アドバイザー※2 による工場横断的な安全活動点検
  • 課長主催の班長会議等の場で意思疎通強化

※1ステアリングコミッティ:
「抜本的安全」を速やかに進行させるために、図に示すメンバーが一同に会し、全体課題を議論し、活動の方向付けを行う場のこと。

※2安全アドバイザー:
日々の活動に入り込み、意見交換を通じて工場全体の安全レベル向上を担うベテラン社員。

抜本的安全対策の進捗

抜本的安全対策は3つの重点課題を11項目の方策に展開し、全社で具体的な取り組みを進めています。多くの方策は日常的な課題に位置付けるところまで進んでいます。2018年度は、2017年7月に発生した茂原分工場での火災事故の対策として、安全技術が伝承されるシステム構築、および技術評価システムの見直しに力を入れて取り組みました。また、それらに関してライン管理者への教育も徹底して実施しました。一方、2018年6月、大阪工場において定期修理期間の工事中に煙突火災が発生したため、工事管理についても自主防衛策強化の検討を進めています。

抜本的安全対策の進捗
重点3課題、11方策 実行スケジュール(年度)
2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
(1) ライン管理者が現場に集中し、しっかりとマネジメントができること
ライン管理者の業務負荷軽減 継続          
ライン管理者の育成 (責任と権限の明確化) 継続   強化
(2) 技術力の向上と、技術伝承を確実に行えること
現場感覚を有するエンジニアの育成 継続        
安全技術が伝承されるシステムの構築 継続   強化
技術評価システムと体制の見直し 継続     強化 継続
(3) 安全最優先の徹底とプロ意識の醸成、業務達成感が得られること
安全・環境部の組織変更・機能強化 継続     強化
「安全はすべてに優先する」の徹底 (基本徹底、診断)
プロ意識の醸成と強化 (マニュアル全面改訂追加) 継続  
チーム力・職場内コミュニケーションの強化 継続      
魅力ある上位職の設定 (人材委員会等) 継続          
安全成績や業務での達成感獲得 継続          

リスクアセスメントの徹底

三井化学では、設備の新設・増設・改造時における安全性評価や、プラントの危険摘出にHAZOP※1 を実施し、事故の未然防止に取り組んでいます。さらに、岩国大竹工場で発生したレゾルシン製造施設爆発火災事故の反省を受けて、非定常作業まで検討範囲を広げています。非定常リスクアセスメントの取り組みは、継続的かつ発展的なものへとなっています。当社は、引き続きリスクアセスメントの徹底を推進します。

HAZOPリーダーの育成

HAZOPは解析のリーダーであるHAZOPリーダーの役割が重要になります。当社ではHAZOPリーダーを育成するため、2013年度から製造部スタッフなどを対象に、全工場で解析手法や検討の考え方を演習形式で学ぶ研修会を実施しています。今後も研修会を計画的に実施し、HAZOPリーダーの育成とHAZOPのレベル向上を図っていきます。

非定常リスクアセスメントの取り組み

2013年度から2014年度にかけて、各工場のモデルプラントでの試行により確立した緊急停止時の点検方法に基づき、工場ごとに編成した点検グループが、各プラントの緊急停止に関して点検を実施、最終的には本社メンバーが各工場の点検結果のフォローアップを行いました。

2014年度からは、複数のモデルプラントでWhat-if※2 とバッチHAZOPを併用した評価方法の検証を行いました。2015年度に大阪工場と市原工場で非定常作業「スタートアップ」のリスクアセスメントを開始、2016年度より全工場に適用し2019年度も継続しています。

※1HAZOP:
Hazard and Operability Study。正常からのずれを網羅的に想定し、ずれの原因、起こりうる影響を解析し、安全対策を検討する手法。

※2What-if:
「もし ... であるのであれば」という質問を繰り返すことにより、起こりうる影響を解析し、安全対策を検討する手法。

既存の高圧ガス設備の耐震性向上対策

当社は、2014年5月の経済産業省の通知を受けて、既存の高圧ガス設備についての耐震評価を概ね終了しました。評価結果に基づき改修計画を策定し、計画的に耐震補強工事を実施中です。

岩国大竹工場 高圧ガス自主保安認定再取得

岩国大竹工場は、2012年のレゾルシン製造施設爆発火災事故以来、高圧ガスの自主保安認定の更新が切れていましたが、2018年度に再取得の申請作業を取り進め、2019年2月1日付で高圧ガス自主保安認定を取得しました。

安全文化診断

三井化学グループは、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科および新潟大学と連携して安全文化診断を実施しています。この安全文化診断を通じて、職場の強み・弱みの見える化が可能です。また、階層別のあらゆるギャップについて職場内討議を重ねることで、職場のコミュニケーション向上ツールとしても活用しています。
2018年度は、岩国大竹工場、名古屋工場、市原工場で、第2回目の診断を実施しました。前回診断から約4年経過しているので、これまでの職場活性化活動の効果、職場を取り巻く環境変化の影響等を知ることができました。また関係会社4社が初めて診断を受けました。
この診断は、職場の安全文化を自己認識する上で有効であると判断しており、今後も継続して活用していきます。

市原工場での説明会
市原工場での説明会

安全文化診断の展開状況

三井化学
  ~2017年度 2018年度 2019年度
(予定)
市原工場  
茂原分工場  
名古屋工場  
大阪工場  
岩国大竹工場  
大牟田工場  

本体工場の工場長がレスポンシブル・ケア運営の責任を持つ工場構内関係会社を含む。

関係会社
  ~ 2017年度 2018年度 2019年度
(予定)
国内
  • (株) 東洋ビューティサプライ
  • サンアロイ (株)
  • サンレックス工業 (株)
  • 三井化学SKCポリウレタン (株) 徳山工場
  • 宇都宮化成工業 (株) 宇都宮工場、船岡工場、新城工場、鳥栖工場
  • 下関三井化学 (株)
  • 山本化成 (株) 八尾工場、大牟田工場
  • 三井化学産資 (株) 埼玉事業所
  • 本州化学工業 (株) 和歌山工場
海外
  • Mitsui Hygiene Materials (Thailand) Co., Ltd.
  • 三井化学不織布 (天津) 有限公司
 

保安力の第三者評価受診

当社グループは、継続して保安力向上センターの保安力評価を受診しています。これは、主に石油・石油化学品を取り扱う製造業を対象に、安全基盤と安全文化の観点から保安力を評価するもので、保安力に関する強みや弱みが数値で見える化できます。保安力向上センターは、保安力センター評価を通じて、日本の化学産業の安全レベルの引き上げを目指しており、当社はその趣旨に賛同しています。
大阪工場、市原工場に続き、2018年4月に岩国大竹工場においても、保安力の自己評価を実施した後に、保安力向上センターの評価を受診しました。結果概要は下表のとおりです。
今後も保安力向上センターという第三者からのアドバイスを今後の安全・保安活動に活かしていきます。

結果報告会の様子(岩国大竹工場)
結果報告会の様子(岩国大竹工場)

結果概要

安全基盤

安全基盤の平均評価レベルは、石化、石油精製企業の合格レベルと言われている3.0を大幅に上回っており、安全基盤の管理レベルは平均として非常に高く、業界のトップレベルであると考えられる。

大項目10項目それぞれの平均レベルが、3.0を上回り、項目毎のバラつきも少なく、非常に高い管理レベルにあるといえる。

ほとんどの評価項目がレベル3.0以上ではあるが、改善が必要と思われる項目が数点見受けられた。

安全文化

「安全文化の平均評価レベルは、安全文化がしっかりとしたレベルにあるという3.0を大幅に上回っており、業界のトップレベルであると考えられる。

大項目7項目それぞれの平均レベルが、3.0を上回り、項目毎のバラつきも少なく、高いレベルにあるといえる。

現状では、2012年のレゾルシン製造施設爆発火災事故の記憶が強く残っており、経営トップから第一線の運転員まで、二度と事故を起こしてはいけないという決意のもと安全優先の価値観が共有されている。一方で、事故から6年経ち対応は定着してきているとの認識になりつつある。直接事故を経験していない社員も増えてきているので、今後ともこの価値観を継続させていくための配慮が必要となってくると思われる。

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