第3弾:「みんなで海洋ごみ問題を考えよう!」JEANによる社内向けワークショップ

第3弾:「みんなで海洋ごみ問題を考えよう!」JEANによる社内向けワークショップ

2019年4月19日

三井化学株式会社では、2018年11月に一般社団法人「JEAN」の小島副代表理事をお招きして、プラスチックをはじめとする海洋ごみ問題について学ぶ講演会を開催しました。 今回は同じくJEANの小島氏によるワークショップを4月19日に実施。海洋ごみ問題の現状についての講演と、参加者がともに考えるワークショップを通して、「プラスチック製品を開発・生産する企業」として何ができるかを考えました。

目次

海洋ごみ問題をとりまく世界の動きと他社事例について(ESG推進室・船木氏より)

まずはESG推進室より、リサイクル方法や代替資源の活用など、プラスチック製品をとりまく現在の状況についてお話がありました。

ESG推進室・船木氏

一般消費者から回収されたプラスチックのリサイクルにおいて、化学企業にできるリサイクル方法は大きく分けて3つあります。

  • マテリアルリサイクル…再びプラスチック製品として再生すること。
  • ケミカルリサイクル…プラスチックを化学分解して原料として再生すること。
  • 熱回収…焼却時に発生する熱をエネルギーとして回収すること。

上のものほど環境負荷が少ないといわれています。

「さらにエネルギー回収時に発生したCO2を活用する取り組み(カーボンリサイクル)も見られます。人工光合成への活用やバイオマス原料の利用によって環境に貢献する方法もあります」(船木氏)

「海洋プラスチック問題とは、リサイクルやリユースの循環から外れてしまった廃棄物処理の問題です。この問題の解決には世界各国の社会問題としての取り組みが必要です」(船木氏)

「国際的な動きとしては、欧州では2018年1月に「2030年までに市場で流通するプラスチック製品をリサイクル可能なものにする」という戦略を発表。日本でもG20に向けて「プラスチック資源循環戦略」が策定され、問題解決に向けての動きが加速しているといえます。また、化学企業もリサイクル事業へ参入し始めています。」(船木氏)

海洋ごみの発生原因や、自然環境への影響について(JEAN・小島氏より)

続いてJEAN副代表理事・小島さんによる海洋ごみ問題についての講演がありました。

小島あずさ氏プロフィール

1991年にJEAN/クリーンアップ全国事務局 を設立。年2回の全国一斉クリーンアップキャンペーンとごみの調査を実施。国際海岸クリーンアップ(ICC)のナショナルコーディネーターとなる。「多摩川クリーンエイド」「荒川クリーンエイド」の立ち上げも主導。

「ごみというものは人間がどこかで使って、それが環境中に流出してしまったものです。JEANはこれまで“海ごみ一筋”で30年活動をしてきました。“心配する”だけではなく“行動を起こす”仲間を増やしたいという思いからJEAN(Japan Environmental Action Network)という名前となりました」(小島氏)

JEAN・小島氏

主な活動は国際海岸クリーンアップの日本での参加呼びかけと取りまとめ。この活動では。ごみを1つ1つ数え上げ、どのようなものが流れ着いているのかを調べるのが特色だといいます。

「活動を始めた当初は、ごみは単に拾えばいいものだと誤解をされていましたし、私たちの活動も単なる“ごみ拾い”だと受け取られていました。ですが実際には、生態系にさまざまな影響をおよぼしたり、動物の命をおびやかしたりする危険もあるのです。そうした課題に取り組むために調査や啓発活動をしています」(小島氏)

プラスチック製品の長所が、プラスチックごみの難点になる

「海のごみは7~8割がプラスチック」だと小島氏は語ります。
「製品として使っているときには長所だったプラスチックの特徴が、環境中でごみになると大きなデメリットになります」(小島氏)

  • 物質としての安定性が高い → 分解されず、誰かが拾って処理するまで環境中に残り続ける
  • 軽い → 雨や風で用意に移動し、側溝や川から海洋へ流出する
  • さまざまな場所で利用できる → 漁具が動物に絡まると自然に外れず、命を奪う
  • 劣化して破片になる → 水産品への混入

「特に、小さな破片(約5mm以下)となったプラスチックは“マイクロプラスチック”と呼ばれ、海洋中に微量に存在する有害物質の吸着や、生物による誤飲などが特に問題視されています。工業用の研磨剤やスクラブ剤などとしてあらかじめ小さく(1mm以下)つくられた“一次的マイクロプラスチック”は企業が使用・製造を中止するなどの対策がありますが、環境中のごみが偶発的に破片化して小さくなった“二次的マイクロプラスチック”は環境中に流出してしまうと回収はほぼ不可能です」(小島氏)

プラスチック容器などのいわゆる「ごみ」だけでなく、化学繊維でできた衣服の繊維クズもマイクロプラスチックだといいます。つまり、海洋プラスチック問題に無関係な人はいない、と小島氏は続けました。

「必要な対策は、すでにあるプラスチックを環境中に出さずに回収すること。そして、今後発生するごみについては発生をできるだけ抑制すること、そして環境意識を高める教育を行うことです。今日は皆さんと一緒に、プラスチックとの関係について考えてみたいと思います」(小島氏)

ワークショップ「私の一日とプラスチック」

今回のワークショップのテーマは「私の一日とプラスチック」。朝起きてから出勤し、仕事をして帰宅、就寝するまでにどれくらいのプラスチック製品を使用しているかを6つの班ごとに手分けして書き出していく作業に取り組みます。

アイスブレイクとして行われた「人間がプラスチックを誤飲したら」

海鳥が命を落とすまでに誤飲したプラスチックの量を人間の体重の場合に置き換えて、その量がどれくらいになるかを可視化しました。参加者からは「すごい量」と驚きの声が。(ただし、人間は小さなプラスチック片であればそのまま排泄してしまうので過剰な心配はしなくて大丈夫とのこと)

各班の発表では起きて最初に触れる目覚まし時計、携帯電話、メガネ、合成皮革の靴底、電車の吊り革、パソコン、昼食の包装材など、さまざまなプラスチック製品が挙げられました。

「本当にプラスチックを使用した製品がたくさんある。自分たちが子供だった頃は木やガラスだったものが、軽くて安全なプラスチックになっていることにも気づいた」という声がありました。

また6つの班から共通して出た意見は「プラスチックを使っていない製品を見つけるほうが難しい」ということ。現代の生活では、さまざまな場面でプラスチックが活用されていることがわかりました。「機能性の面から見ても、プラスチックを完全になくすということはできない」との意見も出ました。

特にごみになりやすいものはどれか? ごみにしない方法を考えてみよう

続いては、先のグループワークで挙がったプラスチック製品の中から「特にごみになりやすいもの」を考え、「ごみにしない方法」と「そのために乗り越えるべき課題」を考えるワークを行いました。

そこで名前がよく聞かれたのは包装材や調味料の容器・キャップ、ビニール傘など、壊れやすいものや使い捨てを前提にしてつくられたもの。

ごみにしない方法は「繰り返し使える素材に代替する」「回収・再利用しやすい構造にする」「多少の不便は我慢して使うのをやめる」などが挙がりましたが、「実際にやるときっと面倒」「普及しそうにない」など課題も同時に発見されました。

小島氏からは「同じようなワークショップを他のところでも行ってきましたが、プラスチックのプロの方々なので、一般の人が気づかないような点に着目されているなと感じました」とコメントがありました。

また、いかにプラスチックの有用性があるかについても言及され、プラスチック製品のメリットを活用することは決して悪いことではないと強調します。

それでは海洋ごみ問題にどのように取り組めばよいのでしょうか?
小島氏は「特にゴミになりやすい、使い捨てで消費されているものを何に変えていくかが社会全体の課題です。参加者の方からも意見が出ていましたが、“我慢”というのはとても重要な要素。可能な範囲からどんなことができるか、何を変えていけるかを“自分ごと”として考えていってほしいと思います」と講評し、ワークショップを締めくくりました。

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