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新長期経営計画「VISION2030」の策定について

2021.06.02

三井化学グループはこの度、2021年を起点とした2030年までの長期経営計画「VISION2030」を策定しましたのでお知らせ致します。

1. 2030年に向けた長期経営計画:VISION2030の概要

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2. 経営ビジョン(企業グループ理念、目指すべき企業グループ像)

三井化学グループは、「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」ことを企業グループ理念として掲げ、経済軸、環境軸、社会軸から成る3軸経営を実践し、事業活動を通じた社会課題解決への取り組みを進めております。
今回、長期計経営計画「VISION2030」を策定するにあたり、15~20年先に当社が目指すべき企業グループ像を改定し、「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける企業グループ」と定義致しました。今一度当社グループの存在意義である「社会課題の解決」に立ち返り、加速する環境変化の中で生まれる様々な社会課題に対し、多様な価値を創造できる「化学の力」で、その解決策を持続的に提供する企業体を目指し、全社一丸となって実現に取り組んでまいります。

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3. 2030年のありたい姿

目指すべき企業グループ像に向けた通過点となる2030年においては、大きく変容してゆく社会環境や課題に正面から対峙し、当社が取り組む変革を踏まえた新成長戦略を実現する姿を描き、以下を当社グループにおける2030年のありたい姿と定義致しました。

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4. 環境認識と主要経営課題

現在、化学産業を取り巻くグローバルな環境は大きく変化しており、且つその変化のスピードは益々速くなっています。この不確実性が増す環境下、社会・消費者・顧客に求められる価値を創出し続けられる存在となるためには、従来の経営手法や事業戦略を継続していくだけでは不足と認識し、企業変革に向けた課題として以下を定義致しました。

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5. 実現したい未来社会とマテリアリティ

(1)実現したい未来社会

内外環境・メガトレンドを踏まえ、起こり得る環境・社会の課題に対し当社グループが貢献することで「実現したい未来社会」を以下のように定義致しました。

  • 多様な価値を生み出す包摂社会
  • 環境と調和した循環型社会
  • 健康・安心にくらせる快適社会

(2)マテリアリティ

これら未来社会を実現するため、当社グループが貢献すべき取組みと、その前提となる課題及び不可欠な能力を特定し、マテリアリティを以下のように見直しました。このマテリアリティを、基本戦略を始めとした長期経営計画の中に織り込み、実現を追求してまいります。

① 持続可能な社会への貢献

  • 気候変動
  • サーキュラーエコノミー
  • 健康とくらし
  • 住みよいまち
  • 食の安心
  • ライフサイクル全体を意識した製品設計

② 事業継続の前提となる課題

  • 安全
  • 人権尊重
  • リスク・コンプライアンスマネジメント
  • 品質
  • 安定生産

③ 事業継続に不可欠な能力

  • 企業文化
  • 人的資本
  • イノベーション
  • デジタル・トランスフォーメーション
  • パートナーシップ

6. ビジネスモデル転換

当社グループが掲げる社会課題解決に向けた貢献と、その取組みを原動力とした持続的成長を実現するためには、現有従来型の素材提供ビジネスからの転換を図り、「社会課題視点」、「ソリューション型ビジネスモデル」、「サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル」、「デジタル・トランスフォーメーション」を全社・全事業に展開してゆくことが必要不可欠です。これまでの成功モデルや事業アプローチに安住せず、このビジネスモデル転換を弛まず遂行することにより、社会・消費者・顧客に求められる価値の創出を追求します。

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(1)社会課題視点

顧客・消費者・社会により近接し、高度且つ的確に潜在ニーズ・ペインを捉え、製品・サービスの開発や性能検証に繋ぎこむ、「社会課題視点」を全社全事業に展開します。
この思考に基づき、当社のあらゆる事業において更なる領域の延伸・深耕を目指し、また課題解決のために必要となる社外パートナーとの連携やオープンイノベーションにも、積極的に取り組みます。

(2)ソリューション型ビジネスモデル

社会的要請からの課題の複雑化が進む背景により、課題に一層フィットした高い付加価値を創出する目的で、素材提供に留まらずにサービス等を組み合わせ、ソリューションとして提供する「ソリューション型ビジネスモデル」を拡大させます。

(3)サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル

エネルギー多消費型事業の存続は困難との認識に立ち、ますます重要性が高まるサーキュラーエコノミーへの対応を全社に広げ、グリーンマテリアルへの転換等により事業構造を変革させる「サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル」を立ち上げます。

(4)デジタル・トランスフォーメーション

「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を全社に展開し、当社が持つ様々なビジネスモデル、業務プロセス、組織能力等を更に高度化させます。

7. VISION2030 全社基本戦略

経営課題を克服し、2030年のありたい姿、並びにその先の目指す企業グループ像を実現するために、以下5つの基本戦略を掲げ、全社を挙げて実行を推進致します。

(1)事業ポートフォリオ変革の追求

① 社会課題視点の全事業への展開

② 事業領域の拡大・深耕による成長

③ 既存事業の構造改革加速、グリーンマテリアルによる事業転換

(2)ソリューション型ビジネスモデルの構築

① 事業デザイン力の強化による新事業の創出

② 社内横串連携、及び社外パートナーとの連携の強化

(3)サーキュラーエコノミーへの対応強化

① 全事業を対象としたサーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの構築

② 原燃料転換に基づくサーキュラーエコノミー対応製品の展開

③ カーボンニュートラルに資する環境基盤技術の開発・獲得

(4)デジタル・トランスフォーメーションを通じた企業変革

① デジタル・トランスフォーメーションの全社・全領域への展開

② 製販研・サプライチェーン全体の変革を通じた価値の創出

(5)経営基盤・事業基盤の変革加速

① コミットメント・チャレンジ意識の浸透

② エンゲージメント向上による組織能力向上、企業文化変革

③ グローバル全拠点での安全・安定運転と競争力強化の両立

④ サステナブルなサプライチェーンの構築

8. 事業ポートフォリオ

当社グループの成長に向けた基本戦略を遂行し、事業領域の更なる延伸・深耕を実現するため、従来のポートフォリオを再編成し、以下の4ポートフォリオとして新たに設定することと致しました。

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9. カーボンニュートラル

2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップを、以下の通り策定しました。①自社におけるGHG排出削減とカーボンネガティブ等によるカーボンニュートラルの実現、②製品提供による社会や顧客への貢献の2本の柱を推進し、今後もこのロードマップを都度最適化しつつ、必要な施策を鋭意実行に移してまいります。

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10. VISION2030 経営目標

当社が追求する3軸経営、VISION2025経営目標の実現を通じて、VISION2030経営目標の達成を目指します。

2025年度 2030年度
財務指標 コア営業利益 2,000億円 2,500億円
親会社の所有者に帰属する当期利益 1,100億円 1,400億円
ROIC 8.0%以上 8.0%以上
Net D/E 0.8以下 0.8以下
ROE 10%以上 10%以上
非財務指標 Blue Value®売上比率 30%以上 40%以上
Rose Value®売上比率 30%以上 40%以上
GHG排出削減 25.4%減
(05年度比30年度)
40%減
(13年度比)

11. 資源投入計画

上記経営目標の達成に向け、2021~2030年度の10年間にて、成長投資1.8兆円(戦略投資:自力成長投資=1:1)を実行致します。

12. 今後の計画

21年度上期においてVISION2030の以下詳細を更に検討し、下期に発表を予定しております。

(1)事業ポートフォリオ別成長戦略

(2)経営資源の最適配分

(3)財務・非財務指標を統合した経営計画システム

以上

ご参考)『VISION2030』資料につきましては、当社ホームページより参照頂けます。

本資料に記載されている計画、目標等の将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づき判断した予想であり、リスクや不確実性を含んでおります。従いまして、実際の業績は今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。